透析看護師に向いてる人の特徴は?性格の向き不向きや給料事情を紹介

透析看護師 向いてる人

「透析看護師に興味はあるけど、自分に向いているか分からない。」

「機械が難しそうで未経験から透析看護師になるのが怖い。」

このような不安を抱える方もいるのではないでしょうか。

透析看護師は病棟看護師と異なる点が多いため、不安になってしまうのも仕方のないことです。

この記事では、透析看護師に向いている人の特徴や給料事情、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

透析看護師は難しい?向いている人の特徴を紹介

透析看護師の仕事に興味があっても、「なんとなく難しそう」「自分にできるだろうか」と不安を感じる方もいるのではないでしょうか。

そんな方のために、ここでは、透析室看護師に向いている人の特徴をいくつかご紹介します。

コミュニケーション能力が高い

多くの透析患者さんは、普段は仕事をしたり自宅で過ごしたりしながら、透析治療の時だけ病院に通う生活を送っています。

入院患者さんと違って、「治療の場」「生活の場」が明確に分かれているのです。

そのため、病状を管理する上で重要な「食事内容」や「飲水量」などの情報は患者さん自身から聞き取るしかありません

しかし、透析室はオープンフロアであることが多く、プライベートに関する質問に抵抗を感じる方もいます。

そのため、患者さんが安心して話せる雰囲気や、信頼関係を作れる「コミュニケーション能力が高い看護師」が透析センターや透析クリニックでは重宝されます。

ルーティンワークが苦にならない

透析看護師の仕事は、透析開始前のプライミングから透析終了後の片付けまで、大まかな業務の流れが固定されています。

そのため、「ルーティーンワークが苦にならない」「決まった手順を丁寧にこなすのが得意」といった方には向いている仕事です。

ただし、血圧低下や急変に対応する場面もあるので完全なルーティンワークではありません

時には、臨機応変な対応が求められることも覚悟しておきましょう。

体力的な負担の少ない職場を探している

透析室は「オープンフロア」という作りになっているため、歩き回らなくても患者さんの様子が観察できます。

また、透析中のバイタルは常に機械で監視されており、異常が起きた際はアラーム(警報音)で知らせてくれるため、見落としが発生しにくいのも特徴。

常に動き回ってケアをする環境ではないので、透析室は「体力的な負担の少ない職場」で働きたい方にピッタリです。

患者さんと長期的に関わりたい人

腹膜透析や血液透析などの透析療法は、基本的に一生継続する必要がある治療です。

そのため、透析看護師には「患者さんと長期的に関わる」ことが求められます。

例えば、透析導入期の患者さんはショックを受けていることも多く、治療に安定して通えるまで看護師のサポートが必要です。

また、透析の苦しさから透析離脱を考える患者さんに寄り添い心のケアを行うこともあります

患者さんの人生に深く関わりながら、長期にわたる治療を支えたいと考える方にとって、透析看護師はやりがいのある仕事と言えるでしょう。

専門性の高い知識・技術を身につけたい人

透析室では、シャントの管理や穿刺、除水計画といった、他の分野では習得が難しい「専門性の高い技術」が身につきます。

また、腎不全や心不全糖尿病といった慢性疾患を抱える患者さんが多いため、これらの疾患に関する「専門性の高い知識」が必須です。

そのため透析看護師は、専門性の高い看護に挑戦したい方に向いている働き方と言えます。

透析看護師の仕事内容

透析特有の知識や技術を活かして働く透析看護師は、病棟看護師とは異なる役割を担っています

ここでは、透析看護師が日々どのような業務を行っているのか、詳しく見ていきましょう。

透析前の準備

まず透析をスムーズに始めるため、患者さんの入室前にプライミング(透析回路の準備)やベッドメイキングを行います。

準備が整い次第、患者さんの体調と透析前の体重を確認して、それぞれベッドに案内。

患者さんが一通り入室したら、バイタルサインを測定し、体重の変化をもとに除水計画を立てます。

シャントの確認・穿刺

入室後はシャントの血流の強さや音、拍動などを、触診・視診・聴診を用いて確認します。

シャントに異常がなければ、透析専用のニードルを穿刺し、脱血側(患者さんから機械に血液を送る側)と返血側(機械から患者さんに血液を戻す側)をそれぞれ確保します。

設定された血流量で脱血・返血ができることを確認し、透析開始となります。

透析中の観察

透析中は患者さんと機械の両方を観察し、異常の早期発見に努めるのも看護師の仕事です。

機械は主に、脱血の状態や回路にトラブルがないかを定期的に確認します。

患者さんは、血圧や脈拍数の変化、呼吸数、顔色、体調なども定期的なラウンドで確認。

特に、目を閉じている患者さんは「寝ている」のか「意識を失っている」のか、ぱっと見では判断できないので声掛けによる意識の確認も行います

透析中の患者対応

透析中の患者対応も、透析看護師の大切な仕事です。

特に、急に足が攣る・冷や汗をかく・トイレに行きたくなるといった症状には要注意

血圧低下や意識消失の前兆である可能性もあるため、補液などの早急な対処が必要です。

また、糖尿病の患者さんに対しては、定期的に足趾の状態をチェックし、糖尿病性足病変の早期発見に努めています。

透析中のアラーム対応

透析中に機械の内部エラーが発生した場合は、基本的に臨床工学技士が対応します。

ただし、静脈圧警報やBV警報(血流量や回路に関する警報)など、看護師が対応しなければならないアラームもあります。

透析室看護師には、機械に関する専門知識は求められませんが、アラームの意味を理解して適切に対応できる程度の知識は必要です。

透析後の返血・抜針・止血

透析が終了したら、回路内の血液を患者さんの体内に戻す「返血」という操作をします。

また、透析中は基本的に薬剤が投与できないため、返血中にビタミンD活性剤などを投与することも。

返血終了後、バイタルサインや体調に問題がなければ抜針し、5分から15分程度かけて圧迫止血をします

患者や家族への食事・生活指導

透析患者さんには、厳しい食事制限や飲水制限がかけられています。

多くの患者さんは自己管理をしながら生活していますが、中には制限を守れない方も。

例えば、体重が増えすぎた場合や、検査でリンやカリウムの数値が高い場合には、患者さんへの指導が必要です。

また、家族が食事作りを担当している場合は、家族にも指導を行い透析治療や病状管理への理解を深めてもらいます

透析看護師になるメリット

透析看護師には、日勤のみの勤務や専門性の高いスキルの習得患者さんとの長期的な関わりなどの魅力がたくさんあります。

ここでは、透析看護師として働くメリットを詳しくご紹介します。

残業がほとんどない

透析看護師は、残業がほとんどなく、プライベートの時間を確保しやすいのが魅力です。

透析治療は開始時間や終了時間があらかじめ決まっており、業務のスケジュールもある程度固定されています。

また、患者さんの治療中にカルテへの記録作業も並行して進められ、主要な業務が治療時間内にほとんど完結するため、残業が発生しにくいのです。

夜勤のない職場もある

夜間透析に対応していないクリニックや施設を選べば、日勤のみで働くことができるのも、透析室看護師の魅力です。

「子育て中で夜勤が難しい方」や「夜勤を負担に感じている方」でも、家庭やプライベートを大切にしながら、安定した働き方が実現できます。

ただし、夜勤や土日出勤のある透析施設も少なくないので転職する際は透析スケジュールをよく確認しておきましょう。

力仕事が少ない

透析看護師の仕事は、他の現場より力仕事が少ない点も魅力です。

透析患者さんは年齢層が比較的若く、普段は自宅で生活していたり、仕事をしていたりする方が多いため、ADL介助が必要になる場面はほとんどありません

また、透析室は生活の場ではないので、食事介助や入浴介助などの看護業務も発生しないです。

なお、高齢者が多い地域や入院透析を実施する施設では、力仕事の割合が多くなる場合があるので注意しましょう。

専門性の高い技術・知識が身につく

透析看護師として働く中で、シャントの管理や透析装置の操作など、他の診療科では経験できない極めて専門性の高いスキルが習得できます。

また、腎不全看護や心不全看護といった、他の診療科でも役立つ専門的な知識の習得も可能です。

「透析室看護師はキャリア形成で不利」と思われがちですが、取得を目指せる資格は多岐にわたり、キャリア形成の幅は比較的広いといえます

資格取得を目指せる主な資格には、以下のようなものがあります。

  • 透析看護認定看護師
  • 腎不全看護認定看護師
  • 慢性腎臓病療養指導看護師
  • 透析技術認定士

患者さんと長期的に関われる

人工透析は、導入したら一生付き合っていく必要のある治療法です。

そのため、透析に通う患者さんとは数年、時には数十年というスパンで関係を築くことになります。

こうした超長期的な目線で患者さんと向き合い看護を展開する経験は他の診療科ではなかなか得られないものです。

「患者さんと深く信頼関係を築きたい」「長期的なケアを学びたい」といった方にとっては、やりがいの大きい仕事と言えるでしょう。

透析看護師になるデメリット

「透析看護師に興味があるけどデメリットが気になる」という方もいるのではないでしょうか。

ここでは、透析看護師として働く際に考えられるデメリットをいくつかご紹介します。

ルーティンワークに飽きる可能性がある

病棟は入退院による患者さんの入れ替わりが激しく、看護師の受け持ち患者は毎日のように変わります。

また、ナースコールや急変対応なども比較的多く、臨機応変に判断しながら業務を組み立てていくのも仕事のうちです。

一方で透析室は、患者さんの入れ替わりがほとんどなく、透析業務も大半がルーティンワーク。

そのため、業務を臨機応変に組み立てる機会が少なく毎日同じ流れで仕事を進めることが多くなります

「変化を求めるタイプの人」は、この環境に飽きやすさを感じてしまい、物足りなくなるかもしれません。

オープンフロアにストレスを感じやすい

透析室はオープンフロアになっているため、患者さんとの会話内容が、他の患者さんにも聞こえてしまう可能性が高いです。

そのためプライバシー保護の観点から、会話時の声量や内容にはかなり気を遣うことになります

また、「自分のケアが他の看護師に見えてしまう」という環境に、ストレスや働きづらさを感じる人もいるかもしれません。

血液による感染のリスクが高い

看護師は汚物や血液などの感染源に触れる機会が多く、常に感染症のリスクがつきまとう職業です。

その中でも、血液による感染リスクが圧倒的に高いのが、透析室看護師の特徴です。

例えば、透析用の太いニードルは穿刺の痛みが強いため、患者さんが反射的に動いてしまい、「針刺し事故」を起こすことがあります

また、シャント血管は血管内圧が高いため、「抜針時や止血中に血液が飛散する」ことも少なくありません。

透析以外の知識・技術が身につきにくい

透析室は「治療の場」であるため、清潔援助や食事介助など、日常生活援助を行う機会はほとんどありません

また、末梢血管へのルート確保や入退院支援といった、他の部署で求められやすい看護技術を学ぶ機会も限られます。

経験の浅いうちから透析室に勤めていると、他分野へ転職する際に不利になることも。

透析室看護師を目指す場合は、これらのデメリットを理解した上で、将来のキャリアプランも慎重に考えておくことが大切です。

透析看護師の給料事情

透析室看護師を目指す上で、やはり給料事情は気になりますよね。

看護師全体と透析室看護師の平均年収は、それぞれ以下のようになっています。

透析室看護師は、「夜勤がない」「残業が少ない」といった働きやすい環境の代わりに給料がやや抑えられているのが特徴です。

透析室看護師は無理なく働きたい人にピッタリ!自分に合う職場を探してみよう

透析センターや透析クリニックは、「夜勤が少ない」「残業がほとんどない」など、無理なく働ける環境が整っています。

また、専門性の高い知識や技術を習得できるためキャリアアップの選択肢が豊富にあるのも透析看護師の特徴です。

一方で、「業務の単調さ」や「血液感染リスクの高さ」といったデメリットもあります。

透析看護師を目指す際は、自分の性格やキャリアプランとも相談しながら、自分に合った職場を探してみましょう!

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