「私に看護師は向いていないかもしれない。」
看護師として働く中で、このように考えている方もいるのではないでしょうか。
しかし、向いていないと感じたからといって、看護師資格を無駄にする必要はありません。
外来看護師や産業看護師など、働く環境を変えれば、身体的・精神的負担を軽減しながら看護師として働き続けられるかもしれません。
この記事では、看護師に向いている人・向いていない人それぞれの特徴をご紹介します。
また、看護師を辞めたいと思ったときに試してほしいことも、あわせて紹介するので気になった方はチェックしてみてくださいね。
看護師に向いてない人の特徴
看護師は、やりがいや達成感がある反面、命を預かる責任感や厳しさなど、負担がかかる仕事でもあります。
人によっては、自分には向いていないと感じる場合もあるでしょう。
ここでは、看護師に向いていない人の特徴を5つご紹介します。
生活リズムを安定させたい
病院で働く看護師は、日勤だけでなく夜勤もあるため、生活リズムが不規則になりがちです。
急変や緊急入院の対応に時間を取られると予定外の残業が発生し、さらに生活リズムが乱れる原因になります。
また、平日だけでなく土日にシフトを組まれる場合があり、まとまった休息が取れないことも。
このように病棟看護師は生活リズムが整いにくく、体調管理が難しい仕事といえます。
そのため、規則正しい生活を送りたい方や、健康重視の生活を送りたい方には向いていないといえます。
血液や排泄物に触れるのが苦手
看護師は、患者の血液や尿・便・痰などの排泄物に触れる機会が多い仕事です。
一般的に「汚物」と呼ばれるものですが、看護師にとっては「汚物」も重要な情報源。
これらの性状から、患者の健康状態をアセスメントするのも看護業務の一部なので、血液や排泄物に触れることは基本的に避けられません。
「血液をみると具合が悪くなる」「排泄物のにおいが苦手」など、強い苦手意識を持っている方は看護師に向いていない可能性があります。
マルチタスクをこなせない
病棟看護師の場合、1日に5〜7人前後の患者を受け持つのが一般的です。
患者ごとの検査や処置、内服管理といった必須のタスクをこなす必要があるほか、ナースコールへの対応や医師への連絡、時には急変対応が発生する日もあります。
このように、看護師の仕事では複数の業務を同時に進めるマルチタスク能力が必要です。
優先順位をつけるのが苦手な方や、一つの業務に集中しすぎる方には向いていないかもしれません。
ただし、こうしたスキルは経験を積む中で徐々に身につくものです。
新人看護師のうちは戸惑うことがあっても、経験を積むつもりで取り組むと良いでしょう。
気持ちの切り替えが上手くできない
看護師の仕事をしていると、不意にインシデントやアクシデントを起こしてしまう場合があります。
事故が起きた際は、原因をしっかりと振り返り反省することが大切です。
しかし、反省が必要だからといって失敗を引きずっていると、他の業務に支障をきたす可能性があります。
看護師の仕事は多忙なので、滞りなく業務をこなすためにも、反省したうえで集中して次の業務に取り組むことも重要です。
このような気持ちの切り替えが得意でない方は、看護師の仕事を負担に感じるかもしれません。
患者さんの死に耐えられない
看護師として勤務する中で、患者さんの看取りに直面することは避けられません。
患者さんの死に落ち込むのはごく自然な反応で、むしろ「死に慣れてしまう」方が医療者のあり方としては危険といえます。
看取りの場面は苦しいものですが、それでも患者や家族に寄り添い、最期の時間を見守ることが看護師の大切な役割の一つです。
そのため、「どうしても看取りに耐えられない」と感じる場合、看護師として働き続けるのは難しいかもしれません。
看護師に向いていない・辞めたいと思ったらやること
看護師の仕事は、肉体的・精神的な負担が大きいため、「向いていない」「辞めたい」と感じることは珍しくありません。
ここでは、看護師に向いていない・辞めたいと思ったときに試してほしいことを5つご紹介します。
自己分析してみる
看護師の仕事が自分に向いていないと感じたときは、自己分析がおすすめです。
自己分析にはいくつかのステップがありますが、看護師の適性について悩んでいるときは、「やりたくないこと」「苦手なこと」から整理すると良いでしょう。
そうすることで、自分が抱えるストレスの原因や、避けるべき環境がわかるようになるはずです。
また、これまでの看護観を振り返ると、自分が看護職員を目指した理由や、何を大切にしたいのかを再確認するきっかけにもなります。
自己分析の具体的な方法については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
看護師転職では自己分析が成功のカギ!自己PRや志望動機への活かし方まで解説信頼できる人に相談する
看護師に向いていないと感じている方は、一人で抱え込まず、信頼できる人に相談してみましょう。
相談相手は上司や同僚といった看護師仲間だけでなく、家族や友人など、話しやすい人であれば誰でも構いません。
自分の悩みを言葉にして共有するだけでも、心の負担が軽くなることがあります。
大切なのは、一人で抱え込みすぎて潰れてしまう前に、勇気を出して誰かに相談してみることです。
異動を検討する
看護師に向いていないと感じたときは、異動を検討するのも一つの手です。
たとえば、自立度の高い患者が多い部署に異動すれば、体力的な負担は軽減されるでしょう。
また、これまでと違う業務に携わる中で、新しいやりがいが見つかる可能性もあります。
異動には環境が変わるリスクはありますが、それ以上に自分に合った働き方を見つけるチャンスと捉えることもできます。
まずは、上司や人事部に相談してみるのがおすすめです。
看護の現場からしばらく離れてみる
看護師を辞めたいと感じたら、思い切って退職・休職をして、看護の現場からしばらく離れてみるのも効果的です。
退職・休職すると、看護師を辞めても良いと思えるか、それとも看護師は続けたいのかじっくり考える時間が作れます。
また、現場から離れることが、看護の魅力や、自分の課題に気付くきっかけになる場合もあるでしょう。
転職して職場を変える
今の職場での働き方に違和感を覚えた場合は、転職をして新しい労働環境に身を置いてみるのも選択肢の一つです。
例えば、夜勤なしや土日休みの職場や、自立度の高い患者が多い職場など、自分に合った職場を選べば、負担を軽減しながら働けるようになるかもしれません。
転職をすると、全く新しい人間関係の中で働くことになるため、今の環境を大きく変えたい人に向いています。
自分に合った求人や転職先を探すためには、転職サイトやエージェントを活用した転職活動がおすすめです。
看護師に向いている人の特徴
自分では「向いていない」と感じていても、看護師として必要な特性を持っている場合もあります。
ここでは、看護師に向いている人の特徴を5つご紹介します。
心身ともに安定している
看護師の仕事内容は、患者の移乗やおむつ交換、処置の介助など、体力を必要とするものが多いです。
また、容体の急変や看取りに立ち会うといった、精神的に重く苦しい場面に直面することも少なくありません。
そのため、身体的な負担に耐えられるだけの体力と、安定したメンタルを持っている人は、看護師向けの特性があるといえるでしょう。
人と話すことが得意
患者の状態や訴えを正確に把握し、適切なケアを提供するためには、患者との会話を通じて情報を引き出す必要があります。
患者が抱える不安や痛みを理解するためのコミュニケーションを取れる人は、患者に寄り添った質の高い看護ケアを考えられるでしょう。
また患者だけでなく、その家族への説明や相談対応、他職種のスタッフや外部機関との連携も必要不可欠です。
人と話すことが得意で、相手の気持ちを尊重しながら柔軟に対応できる人は、看護師としての適性が高いといえます。
新しい知識・技術を積極的に習得できる
医療の知識や技術は日々進化し続けています。
新しい治療法や技術が導入されるたびに、看護師も知識や技術を学ぶ必要があるため、勉強に終わりがありません。
そのため、こうした新しい知識や技術を取り入れることに抵抗がなく、学びにやりがいを感じられる人は、看護師に向いているといえます。
素早く的確な判断ができる
医療現場では、急変や緊急入院はもちろん、点滴ルートの自己抜去や転倒など、アクシデントが頻繁に起こります。
そのため、不測の事態にも落ち着いて対処できる人や、優先順位を素早く判断できる人は、看護師としての適性が高いといえるでしょう。
ただし、新人看護師のうちは、急な事態が起きても対処法が分からず戸惑ってしまうのも当然です。
経験を積む中で少しずつ慣れていくものなので、先輩看護師の姿を見ながら、少しずつ看護スキルを磨きましょう。
責任感をもって業務にあたれる
看護師は人の命を預かる仕事なので、責任感を持って業務に取り組む必要があります。
患者の状態を細かく観察し、適切な記録を残すことはもちろん、正確な投薬や処置が求められます。
また、小さなミスが患者の命を左右する場面もあるため、常に緊張感を持って業務に取り組む姿勢が大切です。
このことから、自分の仕事に責任感を持ち、集中して業務に取り組める人は、看護師の適性が高いといえるでしょう。
看護師に向いていないと感じても大丈夫!辞めたいときは悩みすぎず自分に合った働き方を探そう
看護師はやりがいや達成感を感じられる一方で、体力的にも精神的にも負担が大きい職業です。
そのため、「自分には向いていない」「辞めたい」と感じることもあるでしょう。
しかし、看護師の働き方は一つではありません。
今の職場や環境が合わないだけで、別の職場や業務内容なら無理なく続けられることもあります。
一人で悩みすぎず、信頼できる人に相談したり、異動や転職を前向きに検討して自分に合った働き方を探してみましょう。