「10回以上転職している看護師は、もう採用されないのではないか。」
「転職しても、またすぐに辞めたくなるかもしれない。」
このような不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
たしかに、転職回数が多いと不利になる場面もありますが、看護師の需要が高い職場を選び、事前の準備を整えておけば転職を成功させることは十分可能です。
この記事では、転職回数が多い看護師でも採用されやすい職場や、転職活動を成功させるための具体的な方法を詳しく解説します。
また、転職を繰り返す人の特徴も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
10回以上転職している看護師が不利になるポイント
転職回数が多い看護師は、応募時に不利になる場合があります。
例えば、人気の高い求人では転職回数の少ない人が優先されたり、採用担当者の心証が悪い状態からスタートすることが挙げられます。
転職回数が多い方は、採用にどのような影響があるか把握しておきましょう。
総合病院などの大きな病院では採用されにくい
転職回数が多い方は、総合病院などの大きな病院では採用されにくい傾向があります。
これは、採用側から「コミュニケーションに問題がありそう」「適応能力が低そう」といった印象を抱きやすいためです。
また、大病院は応募者数が多いので、審査段階で転職回数の多さを理由に選考から外されるケースも少なくありません。
次世代を育てる目的で新卒や二次新卒を積極的に採用している病院では、年齢を理由に採用を見送られるケースもあります。
クリニックなどの人気の高い施設での採用率が低い
クリニックは、病院より少人数で運営されるため、人間関係の幅が狭いのが特徴です。
そのため「コミュニケーションに問題がありそう」と思われると、職場の雰囲気を守るために採用を見送られる場合があります。
クリニックは「夜勤なし」「土日休み」などの条件が整っているケースが多く、特に子育て世代の若い看護師からの人気が高い職場です。
結果として、競争率が高くなりやすいため、転職回数の多い方は不利になる傾向があります。
転職回数が多いと採用担当者が不安に感じる
転職回数が多いことは、採用担当者に不安を抱かせる原因になります。
例えば、採用してもすぐに辞めてしまうのではないか、性格や行動に問題があるのではないか、看護技術が身についていないのではないか、といった点が懸念されやすいです。
これらの理由から、採用担当者から採用コストに見合わないと判断され、採用を見送られる可能性も。
面接や履歴書では、これらの不安を払拭する説明が求められます。
10回以上転職している看護師でも採用されやすい職場・雇用形態
10回以上転職している看護師でも、看護師の需要が高い職場を選べば不利な扱いはされない場合があります。
ここでは、10回以上転職している看護師でも採用されやすい職場・雇用形態を4つご紹介します。
3年以上の勤務経験がある病院への出戻り
看護師として一人前に働けるとされる「3年以上」の勤務経験がある病院では、転職回数が多くても、即戦力として採用されやすいです。
ただし、人間関係の悪化が原因の退職や、退職代行を使用しての退職など、円満に退職できていない場合は、再び採用されるのは厳しい可能性があります。
出戻りを検討する際は、過去の退職理由や当時の関係性を振り返り、再雇用される可能性があるか事前に確認しておきましょう。
看護師の出戻りに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
看護師が出戻りする時の志望動機の例文・書き方!前の職場に転職する方のよくある悩みも紹介訪問看護ステーション
訪問看護師の主な仕事は、患者への看護ケアや体調管理、患者の家族や施設職員とのコミュニケーションです。
訪問先での仕事が中心となるため、職場にいる時間が比較的短く、人間関係や職場の雰囲気が乱されるリスクが低いです。
普段の言葉遣いや、患者・家族とのコミュニケーション方法に問題がなければ、転職回数に関わらず採用されやすい傾向にあります。
介護施設
介護施設は、慢性的な人手不足に悩まされている現場の一つです。
とにかく人を集めたいと考えて募集している場合も多く、採用の基準が総合病院やクリニックより低く設定されている場合があります。
そのため、転職回数が多くても採用されやすい職場といえるでしょう。
ただし、新しく開設される施設のオープニングスタッフは人気が高いので、転職回数が多いと採用されにくい可能性があるので注意が必要です。
非常勤や夜勤専従
正社員にこだわらない場合、給与や出世の面で不利になる一方、転職のハードルはかなり低くなります。
特に、「シフトに融通が利く人」「夜勤ができる人」は病院にとって貴重な存在であり、即戦力として期待されることが多いです。
そのため、面接時にこれらの強みをアピールすれば、転職回数が多くても採用されやすいでしょう。
単発バイトや夜勤専従といった働き方は、短期間で収入を得たい人にも向いています。
看護師が10回以上転職を繰り返してしまう理由
「本当はもう転職したくない」と思っているのに、なかなか理想の職場に出会えず悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
ここでは、転職を繰り返す人の特徴や、転職しても理想の職場に出会えない理由を解説します。
自己分析が不足している
転職を繰り返しても理想の職場に出会えない方は、自己分析が不足している可能性があります。
自分の性格や、やりたいこと・やりたくないこと、強み・弱みを把握していないと、自分に合った職場が見つかりにくいです。
また、自分の看護観やキャリアプランを明確にし、職場に求める条件の優先順位を整理しておかないと「転職の軸」が定まりません。
なんとなく転職先を選んでしまった結果、転職後に「理想の職場ではなかった」と感じることにつながりやすいのです。
少しの不満も受け入れられず妥協できない
転職回数が多い方は、退職までの心理的ハードルが下がっている場合があります。
そのため、業務の負担や人間関係など、ちょっとした不満を感じただけですぐに辞めてしまいがち。
妥協したくない気持ちも理解できますが、同じ職場で長く働き続けたいのであれば、時には不満と向き合うことも大切です。
10回以上転職している看護師が転職を成功させるポイント
「10回以上転職している」という状況に不安を感じ、「次こそは成功させたい」と思う方もいるでしょう。
ここでは、転職を成功させるためのポイントを3つご紹介します。
どんな職場でも多少の不満はあると理解する
どんな職場でも、働き始めれば何かしらの不満は出てくるものです。
不満を受容できず完璧な環境を求め続けていると、転職回数を重ねてしまう原因になります。
転職を成功させるためには、「100%満足できる職場はない」と割り切りましょう。
多少の不満があったとしても、それを受容したり、自分なりの改善策を見つけたりする姿勢を持つのが大切です。
10回以上転職している理由を明確にする
転職回数が多い方は、面接でこれまでの転職理由について重点的に質問されやすいです。
その際、転職理由を明確に回答できなかったり、前の職場の不平不満を述べたりすると、採用担当者に悪い印象を与えてしまいます。
これまで転職を繰り返してきた理由を整理し、具体的に説明できるようにしましょう。
ネガティブな転職理由はポジティブに言い換えると、悪い印象を和らげつつ前向きな姿勢を伝えられます。
採用担当者の不安を解消させる回答を準備しておく
転職回数が多いと、採用担当者は不安を感じる場合があります。
そのため、面接では採用側の不安を解消する回答を準備しておくことが大切です。
以下に、採用担当者が抱えやすい不安と、それを解消する回答の例をいくつか挙げます。
- すぐに辞めてしまうのではないか?
→「これまでは自分に合う職場を模索していましたが、今回は長期的に勤務する意志があります。」 - コミュニケーションに問題があるのではないか?
→「他職種との連携や、患者・家族とのコミュニケーションを重視し、円滑に業務を進めてきました。」 - 看護スキルが不足しているのではないか?
→「幅広い分野で知識やスキルを身につけてきたので、即戦力として貢献できると考えています。」
経験分野の多さをアピールする
転職回数が多いことは、それだけ多くの分野を経験してきたという証拠でもあります。
さまざまな分野での経験を通じて得たスキルや知識、気付いたこと、看護観などをアピールすれば、採用担当者に前向きな印象を与えられるでしょう。
特に、複数の診療科が併設されている混合病棟や訪問看護では、幅広い経験を持つ看護師が重宝されます。
このような経験分野の多さをアピールしやすい職場を選ぶのも、転職を成功させるポイントといえます。
看護師が転職する前に取り組むべきこと
ここでは、看護師が転職する前に取り組むべきことを紹介します。
職場選びのミスマッチを防ぎ、理想の職場で長く働きたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
ストレスや疲労を抱えている場合の対処法
「人間関係のストレス」や「業務量の多さによる疲労」は、看護師として働く以上、ある程度受け入れる必要があります。
これらの理由だけですぐに転職を繰り返していると、どの職場でも同じ問題に直面し、結果としてまた転職を重ねてしまう可能性も。
ストレスや疲労を抱えている場合は、まずは以下の方法を試してみましょう。
休暇を取る
看護師は体力面・精神面ともにハードなため、ストレスや疲労が蓄積しやすい職業です。
夜勤や残業によって生活リズムが乱れ、体調不良や精神的な症状を引き起こすことも珍しくありません。
このような状態に陥ってしまった場合は、休職や有給を活用してまとまった休暇を取り、一度心身をリフレッシュさせるのがおすすめです。
心と体を休めると視野が広がり、転職以外の解決策や、自分にあった働き方について考えるきっかけになるでしょう。
信頼できる人に相談する
悩みを抱えているときは、友人や家族など信頼できる人に相談するだけでも、気持ちが軽くなることがあります。
自分を理解してくれる存在がいるだけで、前向きな気持ちを取り戻せる場合もあるでしょう。
一人で抱え込んで潰れてしまう前に、まずは勇気を出して相談してみましょう。
退職する前に転職先を決めておく
転職先を決めずに退職すると、収入が無い状態で転職活動を進めることになり、焦りが生じてしまいます。
そのため、退職する前に自分が希望する条件を整理し、それに合った転職先を見つけておくことが大切です。
具体的な転職先の探し方については、以下で詳しく説明します。
今の課題や次の職場に求める条件を自己分析する
「なんとなく良さそう」で転職先を決めないためには、事前の自己分析が欠かせません。
「転職する理由」「次の職場に求める条件や優先順位」を整理しておくと、転職の軸が明確になるため転職先とのミスマッチを減らせます。
自己分析については、以下の記事で詳しく解説しています。
看護師転職では自己分析が成功のカギ!自己PRや志望動機への活かし方まで解説転職サイトでプロに相談する
仕事を続けながら転職活動をするのは、時間も手間もかかるため大変と感じる方もいるでしょう。
そんなときは、看護師専門の転職サイトや転職エージェントを活用するのがおすすめです。
キャリアアドバイザーなどのプロに相談すると、自分に合った職場を紹介してもらえるだけでなく、面接対策や条件交渉のサポートも受けられます。
効率的に転職活動を進めたい方は、専門家の力を借りてみてはいかがでしょうか。
看護師の『転職10回以上』はもう怖くない!経験を活かして自分に合った職場を探そう
転職回数が10回以上でも、看護師の需要の高い職場を選び、事前の準備を整えておけば転職を成功させることは十分可能です。
転職を繰り返さないために大切なのは、「何となく良さそう」で職場を選ばないことです。
自己分析を通じて「転職する理由」「希望する条件」「キャリアプラン」を明確にしておきましょう。
また、効率的に転職活動を進めたい方や転職を確実に成功させたい方は、専門家のサポートを受けるのもおすすめです。
転職回数の多さは、さまざまな経験を積んできた証でもあります。
その経験を活かして、自分に合った職場を探してみましょう。