「看護師としてスキルアップがしたい」
そのようなときにおすすめなのが、ダブルライセンスの取得です。
新たな資格を取得すると、スキルや知識の証明となり、ほかの看護師と差別化をはかれます。
ダブルライセンスの取得は、待遇の改善や転職の幅を広げることにも役立つでしょう。
本記事では、看護師におすすめなダブルライセンスや選ぶポイントを紹介します。
看護師におすすめなダブルライセンスの資格10選と取り方(国家資格)
看護師におすすめな国家資格のダブルライセンスの資格や、取り方をみてみましょう。
難易度の高い資格も多いですが、社会的信頼度も高く、就職や転職に役立ちやすい資格ばかりです。
助産師
助産師は「妊娠」「出産」「産後」のケアを専門とする専門職です。
看護師資格を取得後、最短1年の専門課程を終了すると助産師の国家試験が受けられます。
助産師の業務は、正常な妊娠経過の場合に、助産師の責任で分娩を介助したり、妊産婦や新生児のケアをおこなったりすることです。
給与面でも、年収567万円と看護師の年収508.2万円よりも優遇されることが多く、魅力的なキャリアアップの選択肢となります。
参照:厚生労働省 職業情報提供サイトjob-tag 「助産師」「看護師」
保健師
保健師も助産師同様、看護師免許を持っていることが前提の専門職です。
とくに地域医療や予防医療の分野に興味がある方にとって、知識やスキルをアップするのに役立つでしょう。
保健師は予防医学の視点を持って、地域住民や企業の従業員などの健康増進のために関わります。
保健師学校や大学への1〜2年間の編入で保健師の専門課程を学び、保健師資格を取得します。
臨床工学技士
臨床工学士は、医療機器のスペシャリストです。
医師の指示のもと「人工呼吸器」「透析」「人工心肺」などの医療機器の操作や、あらゆる種類の医療機器の点検・管理をおこないます。
看護師が臨床工学士の資格を取ると、医療機器の管理から患者さまの全身管理までを一貫しておこなうことができます。
一般的に臨床工学士になるためには、3年間の専門教育を受け、国家資格の取得が必要です。
理学療法士
理学療法士は、運動機能の「回復」「維持」「予防」に関わる専門職です。
運動機能の専門的な知識やスキルを持ち、リハビリテーションの場で活躍します。
おもな就労先をみてみましょう。
- 病院/診療所
- 介護施設
- スポーツ施設
- 訪問リハビリ/訪問看護ステーション
けがや手術後のリハビリだけでなく、高齢化にともなう介護・介護予防の現場でも需要があります。
3年制の専門学校や4年制の大学で学び、国家資格を取得します。
救急救命士
救急救命士は、救急現場での応急処置や救命処置をおこなうスペシャリストです。
救急車の要請時に、医師の指示のもと次のような救命処置をおこないます。
- 気道確保
- 心肺蘇生
- 除細動
- 薬剤投与
看護師の資格を持っている場合、通常2年学校に通うと、国家試験の受験資格が得られます。
すでに履修した科目については免除される可能性があるため、くわしくはご自身の卒業した学校の情報をもとに、入学する学校に相談してみましょう。
社会福祉士
社会福祉士は、生活上の問題を抱える人を福祉分野でサポートする専門職です。
具体的な仕事内容は次のとおりです。
- 高齢者や障がいのある方の悩み事を聞き、解決策を考える
- 利用可能な福祉サービスや制度(介護保険や生活保護など)を説明する
- 日常生活の自立をうながすための住宅探しや就労支援などをする
相談者が抱えるさまざまな問題の解決策を探しながら、安心して生活できるようサポートします。
大学や専門学校で勉強したあとに、国家資格の取得が必要です。
看護師の資格があると、最終学歴により最短1年で受験資格が得られます。
介護福祉士
介護福祉士は、高齢者や障がいがある方の日常生活を支援する介護の専門職です。
「食事」「入浴」「排泄」など、日常生活の援助をおこないます。
看護師の資格があっても、介護福祉士の資格取得のための免除はありません。
しかし、介護福祉士が資格を取ったあとに取得する「初任者研修」「実務者研修」のうち、
看護師の資格があると免除されるものがあります。
介護業界に興味のある方は、介護福祉士の資格だけではなく「初任者研修」や「実務者研修」についても調べてみることをおすすめします。
精神保健福祉士
精神保健福祉士とは、精神的な障がいを抱える方が社会復帰や自立をするためにサポートするスペシャリストです。
「相談支援」「社会資源を活用するためのサポート」「就労支援」などを、おもに病院や社会復帰施設でおこないます。
看護師が精神保健福祉士になるためには、1〜2年の専門教育や相談援助業務の実務をこなし、国家資格を取得する必要があります。
専門教育の期間は、卒業した看護学校の種類によりことなるため、確認が必要です。
公認心理士
公認心理士とは、心理学の専門家で日本初の心理に関する国家資格です。
次のようなさまざまな分野で、心理検査やカウンセリングをおこないます。
分野 | 具体例 |
医療 | ・知能検査・発達検査・心理相談 |
教育 | ・生徒の相談対応・保護者からの相談対応・発達障害の早期発見・支援 |
産業(企業や組織) | ・ストレスチェック・個別カウンセリング・復職支援プログラムの作成や実施 |
福祉 | ・障がい者支援・高齢者の認知機能評価・虐待の心理的支援・里親支援 |
司法 | 受刑者の心理評価 |
大学で心理学を学んだあと、大学院で学ぶ・もしくは実務経験をつみ、国家試験を受験します。
管理栄養士
管理栄養士は、栄養に関するアドバイスや栄養管理をおこなう専門家です。
おもな就労先をみてみましょう。
- 病院/医療機関
- 学校
- 企業
- 行政機関
生活習慣病の予防や、健康寿命を伸ばすことの観点から、栄養に関する豊富な知識を持つ管理栄養士の需要が増しています。
4年間の管理栄養士育成施設を卒業したのち、国家試験を受験することが可能です。
看護師におすすめなダブルライセンスの資格8選と取り方(民間資格)
看護師におすすめな、民間資格のダブルライセンスや取り方をみてみましょう。
民間といえど、専門知識や技能の習得など、看護師としてのステップアップにぴったりな資格がたくさんありますよ。
認定看護師
認定看護師とは、特定の専門分野で高度な看護技術や知識を持つ看護師です。
取得の条件は次の通りです。
- 実務経験5年以上
- 専門分野での経験3年以上
- 6カ月以上の教育課程を終了
認定看護師は2021年からA課程・B課程とわかれており、新たにできたB課程には特定行為研修が組み込まれています。
それにともない、もともとあった名称が変更になったり、統合されたりしています。
例)救急看護認定看護師・集中ケア認定看護師:クリティカルケア認定看護師
ケアを提供するだけでなく、他職種との連携やスタッフの指導など、教育的な役割も認定看護師の重要な仕事です。
専門看護師
専門看護師は、特定の看護分野の実践や教育などを担う看護のスペシャリストです。
取得条件をみてみましょう。
- 看護師実務経験5年以上
- 看護系大学院修士課程修了
- 日本看護協会の認定試験合格
専門看護師は、特定の分野(がん看護・精神看護・小児看護など)で質の高い看護の提供が求められます。
ほかの看護スタッフへの教育や指導も、専門看護師の重要な役割です。
さらに、研究活動をとおし最新の知識や技術を学び、現場のケアでいかします。
専門看護師は、患者さまや家族だけでなく、医療スタッフにとっても頼りになる存在です。
認定看護管理者
認定看護管理者は、看護の現場をまとめ、質の高い看護ケアを提供するためのリーダーシップをはかる看護管理の専門家です。
看護部の組織運営や人材育成などに携わります。
それに加え、医療安全や感染管理など幅広い知識が求められます。
資格取得には「実務経験5年以上」「日本看護協会認定看護管理教育課程サードレベルの終了」が必要です。
看護部長や副看護部長などの管理職として活躍することが多く、病院の看護部をまとめるために役立ちます。
診療看護師
診療看護師は、医師の指示のもと特定の診療行為をおこなえる看護師です。
具体的な業務をみてみましょう。
- 検査オーダー
- 薬物治療の提案
- フィジカルアセスメント
資格の取得には、実務を5年以上経験したのち、大学院の修士課程で診療看護師に必要な知識や技術を学ぶ必要があります。
救急医療の場や、過疎地での活躍が期待されるライセンスです。
3学会合同呼吸療法認定士
3学会合同呼吸療法認定士は、呼吸管理のスペシャリストです。
「日本胸部外科学会」「日本呼吸器学会」「日本麻酔科学会」の3学会が認定する資格で、看護師や臨床工学士などが取得可能です。
人工呼吸器管理や呼吸リハビリテーションなど、呼吸療法の専門的な知識やスキルが証明されます。
取得には、実務経験2年以上と学会や講習会などのポイント取得が必要です。
BLS/ACLSプロバイダー
BLSとACLSプロバイダーは、心肺蘇生法と救急蘇生法の認定資格です。
BLSは一次救命処置、ACLSは二次救命処置に関する知識や技術を習得していることを証明してくれます。
シミュレーションや講習をとおして、急変時や緊急時の対応力を向上させてくれるでしょう。
BLSは1日、ACLSは2日で取得が可能です。
ケアマネージャー
ケアマネージャー(介護支援専門員)は、要介護者が適切な介護サービスを受けられるよう支援する専門家です。
介護計画(ケアプラン)を作成し、サービスを提供する事業者と調整をおこないます。
看護師経験が5年以上あれば、誰でも受験可能です。
看護師のケアマネージャーは、医療的な視点からも介護への介入ができ、医療依存度が高い利用者さまにとって、頼れる存在になるでしょう。
認知症ケア専門士
認知症ケア専門士は、認知症の人の視点にたったケアを実践したり、指導したりできる専門職です。
看護師の場合、実務経験3年以上で試験の受験が可能です。
認知症の方の理解やケアの実践など、認知症ケアの知識の証明になります。
高齢化にともない、介護施設だけでなく、一般の病院でも認知症の方のケアに携わる機会は今後増えていきます。
認知症に関する知識を持つことは、看護師の強みとなるでしょう。
看護師のダブルライセンスがおすすめな理由
看護師のダブルライセンスがおすすめな理由をみてみましょう。
看護師としてキャリアアップしたいときにおすすめなのがダブルライセンス。
新たな資格を取ることは、知識やスキルの証明になり、ほかの看護師と差別化をはかるためにも役立つでしょう。
ここでは、看護師のダブルライセンスがおすすめな理由を解説します。
知識が深まる
ダブルライセンスにより、知識が深まることが期待できます。
すでに現場でおこなっていることでも、学び直すことで理論的な理解が深まり、視野が広がるでしょう。
資格取得のための学習で、最新の医療情報をアップデートしたり、治療ガイドラインに触れたりすることもできます。
資格をとおして、ほかのスタッフへの教育や指導など、新たな経験をつめる可能性もありおすすめです。
転職の幅が広がる
看護師のダブルライセンスにより、転職の幅が広がります。
たとえば、看護師がケアマネージャーを取得すれば医療現場に加え、介護現場での需要が高まります。
ダブルライセンスは、採用担当者へのアピールポイントにもなるはず。
ほかの候補者と差別化をはかるのにも役立ちます。
給料アップが見込める
ダブルライセンスにより、給料アップが見込めるでしょう。
専門性が高いことが評価されると、資格手当として基本給に手当が上乗せされます。
専門看護師や認定看護師は、基本給そのものが上がるケースもあります。
ただし、資格の種類や関連性の薄い資格では、給料が変わらないこともあるため、給料アップを目指す場合には注意が必要です。
ダブルライセンスを選ぶときのポイント
ダブルライセンスを選ぶときのポイントを3つ紹介します。
自分が興味のある分野を見極める
ダブルライセンスの獲得を目指すときは、自分が興味のある分野を見極めることが重要です。
なかには、資格を取るまでの過程が過酷だったり、課題の多さで疲れてしまったりするライセンスもあります。
そのようなときでも、自分の興味のある分野であれば学習意欲がわき、頑張るきっかけになるでしょう。
働きながらの資格取得や、専門性の高い資格を取得を狙う場合には、身体的・精神的負担がかかる可能性もあります。
自分のやる気が続くように、興味のある分野を見極めて、どの資格を取得するか考えてみてください。
自分の理想のキャリアプランを考える
ダブルライセンスを目指すときは、理想のキャリアプランを考えてみましょう。
資格を取ってマイナスになることはありません。
しかし、自分が理想とするキャリアプランとかけ離れた資格を取っても、その資格をいかせない可能性があります。
取ったライセンスを無駄にしないためにも、自分のキャリアプランに沿った資格取得がおすすめです。
取得にかかる費用や時間を明確にする
ダブルライセンス取得にかかる費用や時間を明確にしましょう。
資格の種類によっては、全日制の学校に通学が必要だったり、一定期間仕事ができず収入がなくなったりするかもしれません。
資格取得にかかる費用や時間を明確にし、生活費なども合わせて総合的な収支のバランスを把握することが大切です。
学費に関しては、奨学金や職場からのサポートが受けられる可能性もあるため、調べてみてください。
ダブルライセンスでステップアップ!看護師としてのキャリアの幅を広げましょう
看護師のダブルライセンス取得は、知識やスキルの専門性の証明であり、キャリアの幅を広げるきっかけにもなります。
国家資格は取得までに時間がかかるものが多いのに対し、民間資格であれば手軽に取得できるものも。
どのような資格を取得しても、何かを学ぶことは、自分のキャリアのステップアップの第一歩です。
今後のキャリアプランで専門性を極めたい分野を考え、資格取得に向けた金銭的・スケジュール的な計画を立てましょう。