「1年間は頑張ろうと自分に言い聞かせてきたけれど、2年目になっても職場に馴染めない」
こんな悩みを抱える看護師2年目の方も多いでしょう。
とはいえ、2年目で転職しても採用されないのではと不安に感じますよね。
結論、看護師2年目でも転職は可能です。
しかし注意点を知らないと「こんなはずではなかった」と、ミスマッチが生じるおそれがあります。
この記事では、看護師2年目が転職するメリットやおすすめの転職先などをくわしく解説します。
看護師2年目で転職はアリ!転職を考える6つの理由
看護師2年目が転職を考える理由は、次のとおりです。
- 体力的にきつい
- 人間関係の悩みがある
- 看護師に向いていないと感じ始める
- 給料や待遇に不満がある
- ライフスタイルが変化した
- 違う職場や看護職以外の仕事に興味を持ち始めた
くわしく見ていきましょう。
1.体力的にきつい
夜勤や長時間勤務の連続で心身の負担が大きくなり、将来に不安を感じる2年目の看護師も少なくありません。
日本看護協会の調査によると、24歳以下の看護師で「自分の健康(おもに身体的理由)」を理由に退職を考える方は12.8%で5位でした。
この結果から、勤務環境の見直しや自分に合った働き方を求めて転職を検討するのは自然な流れと言えるでしょう。
参考:2023年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」|公益社団法人日本看護協会
2.人間関係の悩みがある
人間関係のストレスも、2年目看護師が転職を考える理由の1つです。
上司や同僚との関係が原因で退職を考える24歳以下の看護師の割合は、以下のとおりです。
24歳以下の看護師が退職したい理由 | 割合 |
---|---|
上司との関係 | 9.8% |
同僚との関係 | 3.8% |
参考:2023年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」|公益社団法人日本看護協会
看護の現場はチームで動くため、人間関係のトラブルが業務全体に影響することもあります。
円滑な人間関係の職場を求めて転職を考えるのは、前向きな選択肢と言えるでしょう。
3.看護師に向いていないと感じ始めた
2年目になると、仕事の現実を知るなかで「自分は看護師に向いていないのでは」と不安を抱える看護師もいます。
日本看護協会の調査によると、24歳以下の看護師が退職を考える理由の3位が「自分の適性や能力の不安」で15.7%にのぼります。
向いていないと感じる原因は人によってさまざまです。
「向いていないから辞める」のではなく「今より合った環境を探す」ことが、転職の第一歩になるかもしれません。
4.給料や待遇に不満がある
給与や待遇が見合っていないと、働くモチベーションが維持できないこともあります。
実際、日本看護協会の調査によれば「昇進・昇給・給与に不満がある」と答えた24歳以下の看護師は2.8%でした。
多くはないものの、若い世代でも収入面に不満を感じている看護師がいることがわかります。
ライフプランや将来設計を見据えて「もっと待遇のよい職場に行きたい」と考えるのは自然な選択です。
5.ライフスタイルが変化した
ライフスタイルの変化にともない、働き方を見直したくなるのも転職のきっかけです。
24歳以下の看護師が退職したい理由 | 割合 |
---|---|
結婚 | 10.2% |
転居 | 8.7% |
子育て | 5.1% |
妊娠・出産 | 1.1% |
参考:2023年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」|公益社団法人日本看護協会
ライフイベントによる影響は大きく、働く場所や時間に制限が出ることもあるでしょう。
自分の生活に合った職場を選び直すことは、長く働くためにも重要な選択です。
看護師が結婚を機に転職を検討する場合のポイントを、以下の記事で解説しています。
結婚を控えている2年目看護師は、ぜひお読みください。

6.違う職場や看護職以外の仕事に興味を持ち始めた
キャリアを重ねるなかで「ほかの職場でもっとスキルを磨きたい」「看護師以外の職種にも挑戦したい」と考える看護師もいます。
実は24歳以下の看護師が転職したい理由として1位になっているのが「看護職のほかの職場への興味」で、21.0%を占めています。
また「看護職以外のほかの職場への興味」とする割合も、4.1%という結果でした。
キャリアアップやスキルアップを目指しての転職は決して悪いことではありません。
2年目は仕事に慣れて余裕が出てくる時期でもあり、将来のことを考えて転職を検討するには、よいタイミングなのかもしれません。
看護師2年目が転職を検討する前にできる対策
看護師2年目で転職を考え始めたときこそ、立ち止まって今できることを見直すタイミングです。
まずは現職で試せる対策を考えてみましょう。
信頼できる同期や先輩に相談する
職場での不安や悩みは、1人で抱え込まずに周囲に話してみましょう。
同じ環境にいる同期や先輩だからこそ、気持ちを理解してくれるかもしれません。
思わぬアドバイスや共感の言葉が、自分を見つめ直すきっかけになることもあります。
他人ではなく「過去の自分」と比較してみる
同僚と比較して焦ってしまい「自分は看護師に向いていない」と感じることもあるかもしれません。
大切なのは「自分がどう成長してきたか」を振り返ることです。
1年目と比べて、できるようになったことや自信を持てた瞬間を思い出してみましょう。
その積み重ねが、確かな実力になっています。
働き方の変更を相談してみる
体力的・精神的にきついと感じたときは、無理をせずに働き方の変更を相談してみましょう。
働き方は、以下のようにさまざまな選択肢があります。
- 夜勤がつらいなら日勤のみは可能か
- 負担の少ない病棟への異動はできるか
- パートや時短勤務が可能か
ライフスタイルの変化があったときも、働き方を見直すべきタイミングといえます。
相談するには勇気のいることかもしれませんが、自分の心身の健康を保つために一歩踏み出してみましょう。
看護師2年目で転職するメリット
2年目という柔軟な時期だからこそ、自分に合う職場を見つけやすく、将来を見据えたキャリアの選択ができます。
看護師2年目の転職ならではのメリットを、一緒に見ていきましょう。
早い段階で自分に合った職場を見つけやすい
看護師2年目は、経験を積みながらも視野が広がり始める時期です。
「思っていた職場と違った」「人間関係や看護観が合わない」と感じたまま働き続けるよりも、早めに方向転換することで、自分に合った職場を見つけやすくなります。
1年目で身につけた基礎的な看護スキルや社会人としてのマナーは、次の職場でも十分通用するでしょう。
キャリアの軌道修正がしやすい
2年目は、将来のキャリアについて考え始めるタイミングでもあります。
「専門分野を極めたい」「ゆとりのある働き方をしたい」など、自分の理想の働き方に気づくきっかけになります。
この段階での転職なら、ブランクも少なく年齢的にも若いため、新しい分野へ挑戦しやすいのがメリットです。
資格取得や専門分野へのステップアップを目指す2年目看護師にも、有利な判断といえるでしょう。
前職での経験を活かしつつ新しい職場で成長できる
2年目の転職であっても、1年間の臨床経験はしっかり評価されます。
たとえば、基礎看護技術や患者さんとの接し方などは、どの職場でも活かせる土台になります。
経験がある分、新しい職場での吸収スピードも速く、成長のチャンスを広げやすいのも2年目で転職する利点です。
前職での成功体験や反省点を振り返ることで、新しい職場ではより自分の強みを活かしながら働けるようになるでしょう。
看護師2年目で転職するときの注意点
2年目での転職には不安や迷いがつきものです。
事前に気をつけたいポイントを知っておくことで、自分に合った職場選びがしやすくなります。
くわしく解説します。
病院以外の施設は「3年以上」の経験を求めていることが多い
看護師が活躍する場は、クリニックや介護施設など多岐にわたります。
しかし、これらの職場では即戦力が求められる傾向があり、3年以上の実務経験を条件とする求人が多くあります。
看護師が「とりあえず3年」と言われる理由は、この実務経験が関係しているのです。
ただし「未経験OK」「教育制度あり」と記載された求人では、教育体制が整っていることが多く、2年目でも応募可能な場合もあります。
気になる求人があれば、くわしい情報を調べ、自分に合った環境かの見極めが大切です。
「とりあえず3年」と言われるくわしい理由については、以下の記事で解説しています。
気になる看護師は、ぜひ参考にしてください。

転職理由や志望動機をポジティブに伝える必要がある
人間関係の悩みや業務のきつさが転職のきっかけでも、そのまま伝えるとマイナスな印象を与えることがあります。
面接では「専門的なスキルを学びたい」「より働きやすい環境で長く成長したい」など、前向きな理由に言い換えて伝えましょう。
ポジティブな志望動機は、面接官に好印象を与えやすく、面接の成功率を高める助けになります。
看護師2年目が転職を成功させるコツ
2年目での転職を成功させるには、以下のような事前の準備が大切です。
- 自己分析をしっかりおこなう
- 教育体制やサポート制度を重視して選ぶ
- 看護師転職サイトやエージェントを活用する
焦らずじっくりと自分と向き合い、納得できる職場を見つけましょう。
自己分析をしっかりおこなう
まずは、自分がなぜ転職を考えたのか、どのような看護師を目指すのかを分析しましょう。
とくに考えるべきポイントは、以下のとおりです。
- 転職先で何を重視するか
- どんな働き方を望むか
- 得意分野・苦手分野はなにか
転職を考えたきっかけをもとに、希望条件ややりたい看護などを明確にしておくと、自分に合った職場が見つかりやすくなります。
くわしい自己分析の方法は、以下の記事でもご紹介しています。
転職活動を成功させたい看護師は、ぜひ参考にしてください。

教育体制やサポート制度を重視して選ぶ
看護師2年目では技術や知識において学ぶべきことのほうが多いため、教育制度の整った職場を選びましょう。
プリセプター制度やOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)体制の有無はもちろん、定期的な面談や研修体制、フォローアップの仕組みも確認しておくと安心です。
転職サイトやエージェントを活用する
看護師転職サイトや転職エージェントでは、2年目の転職に理解のあるアドバイザーもおり、親身なサポートが受けられます。
履歴書の添削や面接対策などを一緒に進められるため、初めての転職でも安心です。
非公開求人の紹介や職場の雰囲気・離職率といった内部情報を教えてもらえることも、メリットの1つです。
看護師2年目におすすめの転職先
看護師2年目でも転職しやすい職場は、以下のとおりです。
- 教育体制が整っている急性期病院
- 人間関係が落ち着いた慢性期病院や療養型病院
自分のペースで成長できる職場を選びましょう。
教育体制が整っている急性期病院
スキルアップやキャリア形成を重視したい看護師には、研修制度や教育体制が整っている以下の職場がおすすめです。
- 大学病院
- 公立病院の急性期病棟
- 中規模の総合病院
これらの病院では、プリセプター制度や定期的な院内研修などが充実しており、段階的に学べる環境が整っているため、2年目での不安や戸惑いを軽減しながらスキルを磨けます。
また、教育熱心な先輩が多い職場では、質問や相談がしやすく、学びやすい雰囲気があるのも大きなメリットです。
人間関係が落ち着いた慢性期病院や療養型病院
精神的な負担をおさえて働きたい看護師には、以下の職場がおすすめです。
- 慢性期病院
- 療養型病院
- 回復期リハビリテーション病棟
急性期に比べて落ち着いた雰囲気で、1人ひとりの患者さんとじっくりかかわれる点が魅力です。
業務のスピードよりも丁寧さが求められるため、2年目でも心に余裕を持って経験を積みやすくなります。
患者さんの病状が安定していることから、緊急対応の機会が少なく、プレッシャーもおさえられます。
スタッフ同士の人間関係もおだやかな職場が多く、焦らず仕事に慣れていきたい看護師に向いているでしょう。
看護師2年目には難易度の高い転職先
看護師2年目の段階では、即戦力を求められやすい以下のような職場への転職には注意が必要です。
- 訪問看護ステーション
- クリニック
- 介護施設
ハードルが高めである理由を解説します。
訪問看護ステーション
訪問看護は、1人で利用者宅に出向き、判断・処置・ケアまでをすべておこなうため、高い判断力と経験が必要です。
急変時の対応や医師・家族との連携など、現場での即応力が求められる場面も多くあります。
とくに小規模の事業所では、新人研修が整っていない場合もあり、2年目の看護師にとってはプレッシャーの大きい職場です。
看護の知識や技術などの基礎をしっかりと身につけてから挑戦するほうが安心です。
クリニック
クリニックでは少人数で業務を回すため、幅広いスキルと柔軟な対応力が求められます。
採血・点滴・診療補助だけでなく、受付や電話対応なども担当することが多く、即戦力としての働きが期待されます。
教育体制が整っていないケースもあり「見て覚える」が前提の現場も少なくありません。
看護技術にまだ不安のある2年目の段階では、ミスやストレスにつながるおそれがあるため、慎重な検討が必要です。
介護施設
介護施設では、バイタルチェックや服薬管理のほか、介護職との連携や医療処置の判断など、さまざまな役割が求められます。
なかでも医師が常駐しない施設では、看護師の判断が大きな責任をともなうこともあります。
2年目では、まだ臨床経験が浅く判断に迷うことも多いため、サポートが不十分な職場では不安を感じやすいかもしれません。
介護施設に興味がある場合は、経験を積んでから転職するほうが安心して働けるでしょう。
看護師2年目でも転職はできる!自分のゆずれない条件を明確にして転職先を選ぼう
看護師2年目でも、しっかり準備すれば転職は十分可能です。
看護師経験が浅い分、不安もあるかもしれませんが、自己分析をおこない「ゆずれない条件」を明確にすることで、ブレずに転職活動が進められます。
教育体制が整った職場や自分の性格に合った環境を選ぶことが、看護師2年目の転職成功のカギです。
焦らず情報を集め、納得のいく職場を見つけましょう。