転職後、新しい環境に馴染めず「前の職場に戻りたい」と悩む看護師は少なくありません。
しかし、出戻りとなると前の職場の反応や、キャリアへの影響が気になりますよね。
そこでこの記事では、看護師転職で出戻りする場合のメリットやデメリットを解説します。
看護師転職で出戻りはできる?
結論から言うと、元々働いていた病院への出戻り転職は可能です。
特に出戻りを禁止するルール等はないため、看護師側が働くことを希望し、病院側がそれを承諾すれば、再度同じ病院で働けます。
看護師は国家資格が必要な職業であり、働ける人が限られていますが、それに対し求人数が多い傾向があるため、出戻りは決して珍しいことではありません。
ただ、退職理由がネガティブなものであったり、在籍中になんらかのトラブルを起こしていたりする場合は、病院側から断られる可能性があります。
言い換えれば、前の職場を円満退職していれば出戻りしやすいと言えるでしょう。
看護師転職で出戻りするメリット
「出戻りは気まずそう」と思う人も多いかもしれませんが、実は看護師転職での出戻りにはたくさんのメリットがあります。
具体的に解説するので、出戻り転職を検討中の人は参考にしてくださいね。
即戦力として働ける
看護師転職で出戻りするメリットとしてまず挙げられるのが、即戦力として働けることです。
以前働いていた職場であれば、業務の流れや各業務の担当者、備品の場所などを既に理解しているため、長時間に渡る研修を受けたり新しい業務を覚えたりする必要がありません。
転職当日からスムーズに働ける人材を雇用できるため、病院側にとっても大きなメリットと言えるでしょう。
職場環境をある程度理解している
業務内容や職場の人間関係・雰囲気などをある程度理解している点も、看護師転職で出戻りするメリットの一つです。
「イメージしていた仕事と違った」「職場の雰囲気が合わなかった」などのミスマッチがなく、安定して働けます。
また、自分が職場環境を理解しているだけでなく、一緒に働くスタッフも自分のことを理解している人が多いため、転職後すぐに職場に馴染むことができるでしょう。
別の職場で得た知識・スキルを活用できる
別の勤務先である程度経験を積んだ場合、そこで得た知識やスキルを出戻り先で活かせる点も、大きなメリットと言えます。
出戻り先の職場を客観的に見ることができ、さまざまな課題や改善点を見出せるのは、他の職場での勤務経験があるからこそ。
経験を活用しながら新しいアイディアを提案できれば、出戻り先が活性化されさらに働きやすくなるでしょう。
環境の変化によるストレスが少ない
知り合いが誰もいない職場で新しい業務を学びながら働くのは、肉体的にも精神的にもかなりのストレスがかかるものです。
人間関係を築くことや研修を受けることに労力を奪われ、本来の業務に集中できないこともあるでしょう。
その点、出戻りであれば環境の変化によるストレスを感じにくいため、しっかりと業務に集中できます。
また、「戻りたい」と希望するくらいの職場であるため、出戻り後も不満なく安心して働き続けられるでしょう。
看護師転職で出戻りするデメリット
看護師転職での出戻りには、残念ながらメリットだけでなくデメリットもあります。
こちらも具体的に解説するので、出戻り転職を考えている方はメリットと合わせて転職の判断材料の一つにしてくださいね。
出戻りを良く思わない人もいる
デメリットとして、まず押さえておきたいのが、出戻りを良く思わない人がいるかもしれないことです。
出戻り先の人間関係や退職理由にもよりますが「一度退職したのに何で戻ってきたの?」と快く思わない人がいるかもしれません。
特に、自分が退職したことによって何らかの皺寄せを受けた人は、不快感を示す可能性があります。
出戻りを全員が歓迎してくれるわけではないことを頭に入れておきましょう。
職場のルールやメンバーが変わっている
退職してからある程度時間が経っている場合、職場のルールやメンバーが変わっている可能性があります。
「前の職場の方が労働環境が整っていた」「働きやすいメンバーが揃っていた」と思っていても、イメージ通りではないことがあるので注意が必要です。
特に看護師業界は職員の入れ替わりが多い傾向があるため、出戻りを検討している場合は出戻り先のルールやメンバーを一度確認すると良いでしょう。
以前とは違う配属先になる可能性がある
出戻りだからといって、必ずしも以前と同じ配属先になるわけではありません。
退職後に別の人が配属されていれば、出戻りする人は空きがある別のところに配属されるのが基本です。
また、配属先は同じでも、以前とは違う業務を任せられることもあるでしょう。
「同じ仕事ができると思ってたのに違った」と落胆しないように、退職前と同じ仕事ができるわけではないことを心得ておきましょう。
出戻り転職した理由が分からなくなる
出戻り後に以前と同じ不満を感じた場合「分かっていたのになぜ戻ってしまったのだろう?」と、出戻り転職した理由を見失ってしまう可能性があります。
出戻りだと再度転職するのはなかなか難しく、ストレスを感じながら働き続けることになるかもしれません。
職場環境や人間関係などは一度離れると記憶の中で美化されやすく「前の職場の方が良かった」と思いがちであるため、出戻りする前に一度冷静に考えましょう。
看護師の出戻り転職で気をつけること
出戻り転職は、一般的な転職とは全く異なるものです。
出戻りしたことを後悔せず、周りのスタッフと良好な関係を築きながら働くためにも、出戻り転職をする際は以下の点に特に気をつけましょう。
出戻り転職したい理由を明確にする
看護師転職での出戻りは、出戻り転職したい理由をクリアにすることが大切です。
特に人間関係や職場の雰囲気が良いという理由で出戻りを検討している場合、スタッフも環境も当時と変わっている可能性があることをきちんと理解しておきましょう。
また、出戻りを採用する側としても、出戻りしたくなった理由は気になるものです。
「業務に慣れているから」「仲の良い人がいるから」など安易な理由ではなく、自身のキャリアアップを見据えた志望動機を述べられるようにしましょう。
期待される役割に柔軟に対応する
出戻りで採用される場合、新人や一般的な転職で採用された人よりも期待されている可能性が高いです。
以前と同じレベルの成果では雇用する側も周囲の人も満足しないことが考えられるため、しっかりと期待に応えられるように働きましょう。
出戻りするまでに培った経験やスキルを活かしつつ、求められていることに柔軟に対応できるように心の準備をしておくことがおすすめです。
「前働いていた時は◯◯だった」はNG
慣れ親しんだ職場に出戻りする場合、懐かしさを感じたり当時と比較したくなったりするかもしれません。
しかし「前働いていた時は〇〇だった」と口に出すのは好まれません。
特にネガティブな比較をするとその場の雰囲気が悪くなる可能性が高いので、注意しましょう。
また「一つ前のクリニックは人間関係が良好だった」など、出戻りするまでに働いていた病院との比較も控えた方が良いでしょう。
謙虚さを持って業務に取り組む
出戻りだと既に熟知している業務などもあるかもしれませんが、ワンマンな態度で業務に取り組むことは控えましょう。
出戻りとはいえ、入社したばかりの身です。
常に謙虚さを持ち、新人のような気持ちで業務に取り組んだり、職場のスタッフに接したりすることを心がけてください。
真摯な態度を見せることで、出戻りに嫌悪感を持つ人とも良好な関係を築きやすくなるでしょう。
出戻り転職をした看護師の声【体験談】
「実際のところ、看護師の出戻りってどんな感じなの?」と気になっている人は少なくないはず。
そこで続いては、実際に出戻り転職をした看護師のリアルな体験談を紹介します。
給料は下がったけど、ストレスフリー!
生活のために、給料が年収ベースで100万円くらい上がるクリニックへ転職しました。
しかし、転職サイトに掲載されていなかった業務を任されたり、スタッフ同士の仲が悪く病棟の雰囲気がピリピリしていたりと、非常に劣悪な環境で精神的に参ってしまいました。
そこで、転職前に働いていた病院への再就職を打診。
すると快く受け入れてくれました。
給料は低いものの、決められた業務に責任を持って取り組むことができ、スタッフ同士も仲が良いので、ずっと働きやすくて大満足です。
希望の部署に配属されずに後悔
ライフスタイルの変化に伴い、以前働いていた病院へと出戻り転職しました。
面接時に以前と同じ部署を希望したものの、残念ながら希望が通らず他の部署で働くことに。
知らない人ばかりの中、慣れない業務に追われる毎日でかなり疲弊しています。
こんなことならわざわざ出戻りせず、もっと条件の良い病院へ転職すれば良かったと後悔の毎日です。
次回の評価面談で異動希望を出そうと思っていますが、通らなかった時のことを思うと今から憂鬱。
「また辞めるの?」と言われそうで転職もしにくく、どうしたものかと悩んでいます。
キャリアを活かせてやりがいも◎
キャリアアップを目指し、小さな病院から大学病院へと転職しました。
しかし大学病院ではほぼ雑用のような仕事ばかり・・・。
患者数も多いため小さな病院のように深いコミュニケーションをとることもできず、物足りなさを感じていました。
そんな時に以前働いていた病院の求人を見つけ、意を決して応募。
無事に再就職でき、出勤当日には「主力として頑張ってね」とお声がけいただきました。
以前の業務で培った経験を活かせるだけでなく、大学病院で得た知見などを活かせるため、出戻りして良かったと思っています。
患者さんともしっかりコミュニケーションをとれるので、やりがい満点です!
再び人間関係で悩むことに・・・。
お局様の振る舞いに辟易し、転職を決意。
退職する際は「新しいことにチャレンジします」と言ったものの、周りからはあまりよく思われず、円満退職とはなりませんでした。
その後新しいところで働き始めると、なんだか前の職場が恋しい気持ちに。
「お局様は真剣に指導してくれていただけだったのでは?」「私が辞めたことで仕事に穴が空いてみんな困っているのでは?」と思い、出戻りすることを決めました。
しかしいざ出勤してみると、お局様から「なんで戻ってきたの?」と一言。
周りもあまり歓迎している様子がなく、ギスギスした雰囲気の中で働いています。
少し考えればこうなることはわかっていたのに、なぜ出戻りしたのでしょうか・・・。
出戻りする前に看護師専用の転職サイトで情報収集を!
看護師の出戻り転職を成功させるポイントは、応募前に職場の情報をなるべく多く収集することです。
退職してから時間が経っている場合、労働条件や職場環境は大きく変わっている可能性があります。
単に昔の職場が恋しくなっているだけの可能性もあるため、まずは自分の希望条件をまとめましょう。
その上で出戻り先と条件に合う他の職場を比較し、本当に出戻りすべきかを検討してください。
また、情報収集には看護師専門の転職サイトへの登録がおすすめです。
転職サイトの情報やサポートをうまく活用しながら、後悔のない転職をしてくださいね。