「看護師は派遣の方が稼げるって本当?」
「実際、派遣看護師はどのくらい稼げるの?」
このような疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、派遣看護師の給与相場や、常勤・パートなどの雇用形態との収入の違いを解説します。
あわせて、派遣で働くメリット・デメリットや派遣で高収入を得るコツまで、詳しく解説します。
派遣看護師に興味がある方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
看護師は派遣の方が稼げるって本当?
「派遣の方が稼げる。」
看護師なら一度は耳にしたことがあるこのフレーズ。
しかし、それが事実かどうか、実際に調べたことのある方は少ないのではないでしょうか。
まずは、実際の派遣看護師の給料がどのくらいなのか、看護業界全体と比較してみましょう。
派遣看護師の給与相場
派遣看護師は、基本的に「時給制」で働くことになります。
ボーナスのある常勤よりも、1時間あたりの単価を高く設定しているケースが多く、効率よく稼げるのが特徴。
勤務先の地域によって異なりますが、時給は1,800円〜2,200円前後で設定されている場合が多いです。
派遣看護師の月収・年収・手取り額を以下の表で説明します。
時給 | 月収 | 年収 | 手取り年収(概算) |
1,800円 | 288,000円 | 345.6万円 | 275万〜290万円 |
1,900円 | 304,000円 | 364.8万円 | 290万〜305万円 |
2,000円 | 320,000円 | 384.0万円 | 305万〜320万円 |
2,100円 | 336,000円 | 403.2万円 | 320万〜335万円 |
2,200円 | 352,000円 | 422.4万円 | 335万〜350万円 |
※1日8時間勤務、勤務日数20日で計算。手取り年収は、社会保険料・所得税を概算で差し引いた金額です。
看護師全体との比較
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の年収は488万9,000円(月収34万800円、賞与79万9,000円)でした。
月収ベースで見れば大差はありませんが、常勤にはボーナスが支給される点を考慮すると、「派遣の方が稼げる事実はない」と言えるでしょう。
ただし、夜勤専従など工夫して働く場合、ボーナスがなくても正社員看護師を超えられる可能性があります。
このように、自分の頑張り次第で高収入を狙えるのが、派遣看護師の魅力です。
パート・アルバイトとの比較
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、短時間労働者(パート・アルバイト)の平均時給1,849円でした。
派遣であれば1,849円以上の案件は容易に見つかるので、「パート・アルバイトより派遣の方が稼げる」は正しいと言えます。
ただし、パートやアルバイトが正社員と同じ条件で、2.3ヶ月の賞与を受け取った場合は、「年収423万円・時給2,203円」まで上がります。
こうなると、必ずしも「派遣の方が稼げる」とは言い切れません。
参考:厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 短時間労働者 職種
「看護師は派遣の方が稼げる」と言われる背景
「派遣の方が稼げる」と言われる看護師ですが、実際は正社員より稼ぐのは難しいとお伝えしました。
では、なぜ「派遣の方が稼げる」と言われるのでしょうか。
ここでは「看護師は派遣の方が稼げる」と言われる背景をご紹介します。
時給を高く設定してでも人手が欲しい施設が多い
少子高齢化により医療需要が増加しているため、看護業界は人手不足が深刻です。
「即戦力」として働ける看護師を求めるケースが増えており、企業側の競争率が高まっています。
特に、急な退職や異動で人手が足りなくなった現場では、時給を上げてでも早く人を確保したいと考えがち。
そのため、「今すぐ働ける人材」である派遣看護師には、好条件が提示されやすい傾向があるのです。
専門性の高いスキルや看護経験が必要な案件は時給が高い
ICUや救急科など、専門的な知識やスキルが求められる現場や、多忙な職場は敬遠されがちです。
そのため、他の求人より応募が集まりにくく、時給を高めに設定して人材を確保しようとする傾向があります。
また、急性期病棟や夜勤専従など、体力や経験を求められる職場も同じ理由で人気がないため、高時給が提示されやすいです。
シフトの柔軟性が高く副業と掛け持ちしやすい
派遣看護師は、勤務時間や日数を自分のライフスタイルに合わせて調整しやすいため、副業との相性が良いです。
「決まった曜日だけ働きたい」「暇な日だけシフトを入れたい」といった希望も通りやすく、自由度の高い働き方ができます。
週1〜2回の勤務で月10万円以上を目指せるうえ、日中の時間を自由に使える「夜勤専従」という選択肢があるのも、派遣ならではのメリットです。
派遣看護師として働く4つのメリット
派遣看護師には、「働き方の自由度の高さや」「人間関係のストレスの低さ」など、派遣ならではのメリットがあります。
ここでは、そんな派遣看護師として働くメリットを、4つに絞って具体的にご紹介します。
働き方やシフトの自由度が高い
派遣看護師は、「残業なし」「夜勤なし」「土日休み」など、自分のライフスタイルに合わせた働き方ができるのが特徴です。
また、「1ヶ月だけ働きたい」「次の職場が見つかるまでの繋ぎとして働きたい」といった、特殊なニーズにも柔軟に対応してもらえます。
このように、勤務期間やシフトの融通が効きやすい点は、派遣看護師ならではのメリットです。
様々な職場で経験を積める
派遣看護師として働いていると、病院だけでなくクリニックや介護施設、企業の医務室など、さまざまな現場を経験できます。
多くの職場や診療科を経験するため、どこに行っても問題なく対応できる「ジェネラリスト」としてのスキルが向上。
専門性に特化したスペシャリストより、柔軟に動けるジェネラリストを求める職場も多いので、キャリアの幅を広げたい人にも向いています。
人間関係のストレスが少ない
派遣は契約期間があらかじめ決められており、契約期間が終了したらそこで職場との縁が切れます。
なので、こちらから職場の人間関係に深く入り込む必要がありません。
また、職場の看護師からも「外部の人」という扱いを受けやすく、余計な雑談を持ちかけられることも少ないです。
このように、良くも悪くも過度な干渉を受けずに働けるため、人間関係のストレスが少なく済むのが「派遣看護師」の魅力と言えます。
面倒な手続きは派遣会社が代行してくれる
給料・シフト・労働条件などの交渉は、「すべて派遣会社の担当者が代行してくれる」ので、自分で職場とやり取りする必要がありません。
無駄な時間を使わずに済むため、「交渉に時間をかけるくらいなら、その時間で働いて稼ぎたい」と考える看護師にもピッタリ。
このように、仕事だけに集中して取り組める環境が整備されているのも、派遣のメリットです。
派遣看護師として働くデメリット
ここまで派遣看護師のメリットをご紹介してきましたが、もちろんデメリットもあります。
派遣会社に登録した後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐため、あらかじめデメリットを把握しておきましょう。
昇給やボーナスは期待できない
派遣看護師は正社員より時給が高く設定されているため、基本的にボーナスは支給されません。
また契約更新制なので、正社員のように決まったタイミングで昇給することもないです。
このように、正社員とは異なり、「昇給やボーナスが期待できない」のが派遣看護師のデメリットの1つです。
なお、契約期間の途中でも時給交渉はできますが、「契約更新の見送り」や「契約打ち切り」のリスクがあるため、よほど時給が低くない限りは避けた方が良いでしょう。
仕事が途切れるリスクがある
派遣には契約期間が設定されており、その期間が終了すると「契約更新」もしくは「契約終了」のどちらかになります。
契約終了になった場合、次の職場が見つかるまでの期間は無収入になってしまいます。
また契約終了以外にも、「派遣会社の都合で案件が紹介できない」「施設側の都合で契約が打ち切られる」などの理由で、収入が途切れてしまうことも。
このように、正社員のような安定した収入を得ることは難しいのが、派遣看護師の現実です。
交通費や退職金は支給されない
派遣看護師は、交通費が時給に含まれていると考えられることが多く、別途支給されない場合が多いです。
そのため、遠方の職場を選ぶと、通勤にかかる交通費の負担が大きくなる可能性があります。
また、いくら長く勤務しても退職金が支給されることは基本的にないため、将来的な資金計画をあらかじめ自分で立てておく必要があります。
教育や研修を受ける機会がほとんどない
派遣看護師に求められる役割は「即戦力」なので、丁寧な研修や教育を受けられる機会はほとんどありません。
ほとんどの場合、勤務前に簡単なオリエンテーションが行われる程度で、すぐに現場に入って働くことを求められます。
また、医療機関によっては高度な医療処置やハイリスク患者の対応を任せてもらえないケースもあり、スキル習得の機会が限られる場合も。
そのため、「新しい技術を学びたい」「看護師として成長したい」と考えている人は、物足りなさを感じるかもしれません。
派遣看護師に向いているのはこんな人
派遣看護師に興味があっても、「自分に向いているのかどうか分からない」と不安に感じる方もいるでしょう。
ここでは、派遣看護師に向いている人の特徴をご紹介します。
ワークライフバランスを整えたい人
派遣看護師は「夜勤なし」「週3日勤務」など、自分のライフスタイルに合わせた働き方ができます。
また派遣看護師は残業が少ない傾向があり、定時で帰れることも多いため、仕事とプライベートのバランスが取りやすいのも魅力。
そのため、育児や家庭との両立を目指す人など、「ワークライフバランスを重視する人」は派遣看護師に向いていると言えます。
短期集中で高収入を得たい人
派遣看護師は、短期間で割り切って働けるうえ、人間関係に振り回されにくいのが特徴です。
例えば、夜勤を専門とする「夜勤専従」では、1回3〜4万円以上稼げる案件があり、週1勤務でも月10万円以上の収入を得られます。
また、夜勤のシフトを限界まで詰め込めば、月80万円以上稼ぐことも可能。
「短期集中でしっかり稼ぎたい人」や、「人間関係に煩わされずに働きたい人」に向いていると言えるでしょう。
副業と看護師を両立したい人
派遣看護師は時間の融通が利きやすいため、副業と看護師を両立したい人にも向いています。
派遣は、「週1〜2回の勤務」「夜勤なし・土日休み」など、自由度の高いシフトを組みやすく、本業と副業を両立しやすいのが特徴です。
特に、Webライターや講師業、動画編集など、フリーランス系の仕事との相性は抜群。
「看護師資格を活かしつつ、自分のやりたいことにも挑戦したい」という人にもピッタリの働き方です。
退職後の求職期間中も働きたい人
退職後、次の職場が決まるまでの「つなぎ」として働けるのも、派遣看護師の強みです。
休職期間中も無収入にならずに済むので、生活を安定させながら転職活動を進められます。
また、ブランク期間を作らずに済むので、転職後もスムーズに業務に入れるのがメリットです。
看護師が派遣で高収入を得るコツ
派遣看護師は働き方の自由度が高い一方で、正社員より稼ぎづらい側面もあります。
しかし、工夫次第で大きく稼げるのが派遣看護師です。
ここでは、「看護師が派遣で高収入を得るコツ」をご紹介します。
仕事に見合う時給が設定されている職場を選ぶ
派遣看護師の時給は、一般的に1,800円〜2,200円前後に設定されることが多いです。
訪問看護や夜勤専従、ICU・救急科など、専門性の高い職場や負担が大きい職場では、時給2,200円以上の案件が出ることも。
ただし、時給の高さだけを見て応募するのはおすすめできません。
いくら高時給でも、人手不足が深刻だったり、休憩が取れないほど忙しかったりすると、結果的に長く続かないケースがあるためです。
人員配置や業務負担なども考慮し、時給と仕事内容のバランスが合っているかどうか、しっかり見極めましょう。
看護師に特化した派遣会社に登録する
高収入の派遣案件を探すなら、看護師専門の人材派遣会社への登録がおすすめです。
たとえば「レバウェル看護」や「看護roo!」などは、医療機関とのパイプが強く、高時給の案件も豊富に取り扱っています。
また、病院やクリニックとの交渉にも慣れているため、時給や勤務条件を有利に調整してもらいやすいのもメリット。
複数の看護師派遣会社に登録しておくと、求人内容や担当者の質を比較できるようになり、希望に合った働き方を実現しやすくなります。
派遣看護師は働き方次第で正社員超えも可能!スキルを活用して効率的に稼ごう
派遣看護師は「働き方次第で正社員以上に稼ぐ」ことができます。
「時給の高さ」や「シフトの自由度の高さ」など、派遣看護師ならではのメリットが多いのも魅力的です。
ただし、「ボーナスや退職金が貰えない」「仕事が途切れたら無収入になる」といった無視できないデメリットも存在します。
派遣看護師になる前に、「自分に派遣という働き方が本当に合っているか」をよく考えましょう。