看護師3年目は1人でできる業務も増え、さらなるステップアップやライフスタイルの変化で転職を検討する方も少なくありません。
とはいえ「看護師3年目の転職は早すぎる」と耳にして、不安になっている方もいるでしょう。
転職が成功するコツさえつかめば、3年目でも早すぎることはありません。
この記事では、看護師3年目が転職を考える理由やデメリット、転職を成功させるコツを解説します。
看護師3年目が近づき、よりよい環境への転職を考えている方は、ぜひ最後までお読みください。
看護師が3年目で転職を考える5つの理由
3年目の看護師が転職を考えるおもな理由は、以下の5つです。
- お礼奉公が終わる
- 職場への不満がある
- キャリアアップをしたい
- 仕事への責任感やプレッシャーを感じ始める
- 結婚・出産・引っ越しなどライフスタイルの変化がある
看護師3年目は仕事でもプライベートでも変化のある場合が多く、転職理由はさまざまです。
くわしく解説します。
1.お礼奉公が終わる
すべての看護師が住み慣れた地域で働いているわけではなく、お礼奉公(奨学金の返済義務)のために指定された病院に勤務している人も少なくありません。
多くの場合、3年間の勤務で返済が完了するため、そのタイミングで地元に戻ることを選択する看護師もいます。
2.職場への不満がある
業務に慣れ始めると視野が広がり、職場への不満を感じやすくなります。
とくに多い不満は「仕事量の多さ」です。
医療労働組合連合会(医労連)の「2022年看護職員の労働実態調査『報告書』」によると、「仕事での強い不満、悩み、ストレスの要因」のうち「仕事の量の問題」とした看護師がもっとも多いことがわかりました。
その理由として、人員不足によって1人あたりの仕事量が増えている可能性が指摘されています。
とはいえ、職場の不満はなかなか言い出せないものです。
するとどんどん不満がたまり「環境を変えたい」と転職を視野に入れ始めます。
参考:2022年看護職員の労働実態調査「報告書」|日本医療労働組合連合会
3.キャリアアップをしたい
看護師として3年働くと、知識や業務遂行能力が身につき、精神的な余裕が生まれ「キャリアアップしたい」と考える看護師もいます。
看護師の3年目は「独り立ち」ができるタイミングでもあり、普段の業務で困ることが少なくなりやすいです。
そのため、キャリアアップが現在の職場でできそうか判断する時期にもあたり、より専門性の高い施設への転職を検討し始めます。
4.仕事への責任感やプレッシャーを感じ始める
看護師として3年目を迎えると一人前と見なされることが多く、重要な業務や後輩の指導をまかされる機会が増えます。
業務の負担や責任が大きくなることで、ストレスを感じる場面も多くなるでしょう。
プレッシャーの高まりから、環境を変えて新たなスタートを切りたいと転職を考える人も少なくありません。
5.結婚・出産・引っ越しなどライフスタイルの変化がある
看護師としてキャリアを築くなかで、3年目に結婚や出産、引っ越しといった大きなライフイベントを迎える人もいます。
現在の職場で育児と仕事の両立が難しい場合、働き方を見直す傾向にあります。
また、引っ越しが必要になると通勤距離の問題から転職を考える場合も少なくありません。
こうしたことから、新たな環境で働くことを視野に入れるのは、合理的な選択と言えるでしょう。
看護師3年目は転職を考えるベストタイミング!
看護師3年目は、転職を考えるベストなタイミングと言えます。
その理由は、以下のとおりです。
- 転職先が見つけやすい
- 退職金をもらえる可能性がある
- おおまかな看護技術を習得している
1つずつ解説します。
転職先が見つけやすい
病院や施設では中途の採用基準を「3年以上の臨床経験」としているところが多いです。
これは企業側の「新人で即戦力にならない」「経験豊富すぎて給与面で採用が難しい」といった問題が少ないためです。
転職市場で評価されやすいため、転職先が見つかりやすいでしょう。
退職金をもらえる可能性がある
病院によっては、3年以上勤務することで退職金の支給対象になるケースがあります。
ただし「丸3年」働く必要がある点には注意しましょう。
「3年目=勤続年数2年」であることが多いため、3年目のうちに転職活動を進め、3年を超えてから退職すると、退職金を受け取れる可能性があります。
転職を考える際は職場の退職金制度を事前に確認し、確実に退職金を得られるタイミングを見極めましょう。
おおまかな看護技術を習得している
看護師として3年間の実務経験を積むことで、基本的な知識や看護業務をひととおり習得できます。
この基礎があれば、異なる診療科や医療機関でも適応しやすく、転職先でも即戦力として評価されやすいでしょう。
また、結婚や出産などで一時的に現場を離れた場合でも、3年以上の経験があることで再就職しやすくなるのもメリットです。
長期的なキャリアプランを考えるうえでも、3年目での転職は有利に働く可能性があります。
看護師が3年目で転職するデメリット
看護師3年目は転職するよいタイミングである一方で、いくつかのデメリットもあります。
1つずつ見ていきましょう。
給料が下がる可能性がある
看護師の給料は、実務経験に応じて上がる仕組みが一般的です。
そのため、転職すると勤続年数がリセットされ、基本給や手取り額が下がる可能性も。
また、転職先に夜勤体制がある場合でも、すぐに夜勤を担当できないケースが多いため、夜勤手当がつかずに一時的に給料が減少することも考えられます。
とはいえ、3年目の看護師はもともとの給与水準がそれほど高くありません。
夜勤が始まれば、現職と同程度の収入を得られる可能性は十分にあります。
転職を検討する際は、基本給や手当の詳細を確認し、収入面でのギャップを把握しておくことが重要です。
経験不足と認識されることがある
「3年以上の経験」を条件とする病院や施設が多い一方で、3年目の看護師はリーダー業務やプリセプター業務などの経験が浅く、転職先によっては経験不足とみなされることもあります。
とくに、専門性の高い診療科への転職や、管理職を目指す場合は、もう少し看護師経験を積んでからのほうが有利になるかもしれません。
転職先で求められるスキルや経験を事前に確かめ、自身のキャリアプランに合った選択をしましょう。
看護師3年目での転職は早すぎる?よくある誤解
「3年目で辞めるのは早すぎる」「転職回数が増えると不利になる」といった考えを耳にすることもありますが、実際には3年目での転職は珍しくありません。
医労連の調査では、勤続年数(同じ施設で働き続けた年数)10年以上の看護師は少ないことがわかっています。
この結果から医労連は「同じ施設で働き続ける困難さがある」と指摘しています。
看護師としてのキャリアを積むうえで、転職のタイミングは人それぞれです。
ステップアップできるチャンスが、看護師3年目であることも十分にありえます。
そのため、何年目で転職するかよりも「自分にとってベストな環境で働けるか」を重視して転職タイミングを見極めることが大切です。
参考:2022年看護職員の労働実態調査「報告書」|医療労働組合連合会
看護師3年目でも転職しやすい職場
3年目の看護師が転職しやすい職場には、以下の選択肢があります。
- 夜勤なし・日勤のみのクリニックや訪問看護ステーション
- スキルアップできる専門病院
- 給料アップが目指せる美容クリニック
転職を機に給与面やワークライフバランスを見直し、自分に合った働き方を実現しましょう。
夜勤なし・日勤のみのクリニックや訪問看護ステーション
プライベートを大切にしながら働きたい人には、夜勤のないクリニックや訪問看護ステーションが人気です。
日勤のみの職場なら生活リズムが整いやすく、仕事と家庭・プライベートを両立しやすいメリットがあります。
患者さまや利用者さまの重症度も、入院患者さまほど高くないため、3年目の看護師でも働きやすい環境です。
ただし、勤務先によっては土曜日の出勤があったり、訪問看護ステーションではオンコール体制を導入していたりする場合もあります。
事前に情報を集め、ライフスタイルに合う職場を見極めましょう。
スキルアップできる専門病院
特定の分野に特化した病院では、専門性の高い知識や技術を身につけられます。
とくに認定看護師や専門看護師を目指す人にとっては、キャリアアップにつながる環境が整っています。
極めたい診療科がある人は、スキルアップを目指せる専門病院への転職がよいでしょう。
給料アップが目指せる美容クリニック
美容クリニックは自費診療が多く、看護師の給与水準も高いという意見もあります。
また、未経験からスタートする看護師も多いことから、研修制度が充実している傾向です。
夜勤もなく、体調管理がしやすい点も魅力で、仕事とプライベートの両立がしやすい環境と言えるでしょう。
看護師3年目が転職を成功させる3つのコツ
看護師が3年目で転職を成功させるコツは、以下のとおりです。
- 転職の目的を明確にする
- 面接対策をしっかりおこなう
- 看護師専門の転職サイト・転職エージェントを活用する
理想の職場で働くために、事前に準備しておきましょう。
1.転職の目的を明確にする
「なぜ転職したいのか」「転職先に求める条件はなにか」をはっきりさせることで、就職後のミスマッチを防ぎやすくなります。
また、転職理由は実際の面接でも質問される内容であるため、簡潔に答えられるよう整理しておくことが大切です。
2.面接対策をしっかりおこなう
転職時の面接では、おもに以下の質問をされる傾向です。
- 転職理由
- 経験した診療科
- 経験のある技術
- 得意・不得意分野
施設によっては「看護師3年目は経験が浅い」と、とらえられてしまうことも。
そのため、面接では「長く働きたい」という意志を伝えることが重要です。
3.看護師専門の転職サイト・転職エージェントを活用する
看護師として新たな職場を探す際には、転職サイトや転職エージェントを利用すると効率的です。
とくに転職エージェントでは、履歴書の書き方や面接のアドバイスももらえるため、はじめて転職する人でも安心です。
「どのような職場が自分に合っているのかわからない」という人にとって、心強いサポートとなるでしょう。
看護師3年目で転職する際の注意点
転職後に「思っていた職場と違った」とならないよう、事前の情報収集が大切です。
SNSや施設の口コミを参考にするのも1つの方法ですが、個人の発信には偏りがあることを理解しておきましょう。
また、実際の職場の忙しさやスタッフの雰囲気はホームページやインターネットからでは読み取り切れないため、見学にいくのが理想です。
とはいえ、従事しながらの転職活動ではなかなか時間が確保しづらい現状があります。
そんなときは、転職エージェントへの相談がおすすめです。
希望に合う職場を紹介してくれるだけでなく、内部情報の提供から面接対策、円満退職のアドバイスまで受けられます。
転職後のギャップを防ぐために、さまざまな方法を活用してできるだけ多くの情報を集めましょう。
看護師3年目で転職するときに疑問に思うこと
看護師3年目での転職について、よくある質問にお答えします。
疑問を解消し、少しでも不安のない転職活動をおこないましょう。
看護師は何年で辞めるのが多いですか?
看護師の経験年数ごとの転職・退職率に関して、明らかなデータはありません。
しかし勤続年数が10年未満の看護師が半数以上を占めることから、1つの施設で長く働くことは難しい現状があります。
看護師の勤続年数の平均はどのくらいですか?
医労連の「2022年看護職員の労働実態調査『報告書』」によると、平均勤続年数(現職場に勤めている年数)は12. 4年です。
もっとも多いのは5〜10年未満で19.4%を占めています。
参考:2022年看護職員の労働実態調査「報告書」|医療労働組合連合会
看護師3年目で辞めると退職金はもらえますか?
病院の規定によりますが、3年以上勤務すれば退職金が支給されるケースが多いです。
看護師3年目は、勤続年数が3年未満であることが多いため、受け取れない可能性もあります。
転職する前に病院の規定を確認しましょう。
看護師3年目の転職はキャリアの分岐点!後悔しない選択をしよう
看護師3年目の転職は、キャリアの分岐点となる重要な決断です。
お礼奉公の終了や職場への不満など、さまざまな理由で転職を考える時期でもあります。
3年間の経験があることで転職市場での評価は高く適応しやすい一方、給与の減少や経験不足と見なされるリスクも。
3年目で転職するデメリットを理解しつつ、勇気ある一歩を踏み出すことができれば、後悔のない選択ができるでしょう。