「治療を終えて在宅で安心して生活できるように、患者さんが利用できる制度をもっと詳しく知りたい」と感じている看護師は多くいます。
ケアマネジャーは訪問介護やデイサービスなどのサービスが受けられるようケアプランを作成したり、受け入れ先の施設と調整を行ったりします。
この記事を読むと、ケアマネジャーと看護師の仕事内容や給料の差と、ケアマネジャーの資格を看護師がとるメリットやデメリットがわかります。
ケアマネと看護師はどっちが上?給料や資格取得の難易度など比較
ケアマネジャーの資格取得までに時間やお金がかかります。
資格の難易度や資格取得後の給料面について知っておく必要があります。
給料はどちらが上か
厚生労働省による職業情報提供サイトjobtagによると、ケアマネジャーの年収は421.6万円で、看護師は508.2万円とされています。
看護師の方が年収は高い傾向にあり、その理由として夜勤や時間外労働、各種手当が関係していると言えるでしょう。
資格の難易度はどちらが上か
ケアマネジャー試験の合格率は例年では10〜20%前後です。
厚生労働省が発表した令和6年試験の合格率は32.1%となっています。
一方で看護師の国家試験の合格率は、令和6年の看護師国家試験の合格率は87.8%です。
ただし、看護師になるには、看護学校で3年前後の学習が必要であり、合格率だけでは難易度を比較するのは難しいでしょう。
立場はどちらが上か
医療の現場では、患者さんへ良いケアを提供できるようチーム医療が前提となっています。
しかし、実際には指示を出す側と受ける側、聴く側と教える側といった立場上の優劣は存在するでしょう。
ケアマネジャーは看護師にはない視点や知識で、在宅で医療を受けられるように調整したり、他職種と連携して情報を提供していく場合が多いです。
そのため、経験豊富なケアマネジャーであれば、看護師に対して指導的な立場になることもあります。
実際にはどちらが上だといった、小競り合いが起こることは極めて少ないでしょう。
働きやすさはどちらが上か
ケアマネジャーはデスクワークや打ち合わせが多くなるため、現場で体を動かしながら働くことが好きだという看護師には、ケアマネジャーは合わない可能性も。
デスクワークが好きな人には、働きやすいと感じる人も多いでしょう。
看護師がケアマネジャーになるには
ケアマネジャーになるには、いくつかの条件をクリアしていく必要があります。
ケアマネジャーの資格取得を考える前に、仕事内容や就職先について調べておきましょう。
ケアマネジャーとはどんな仕事か
ケアマネジャーは介護支援専門員のことで、現場では「ケアマネ」と省略して呼ばれます。
介護を必要とする人に、介護サービスを提供するため、自宅の状況や支援者、本人のニーズについて分析を行い、介護サービス計画書(ケアプラン)を作成します。
ケアプランに応じてデイサービスなどの事業所にサービスを依頼します。
サービスが始まった後も、家庭訪問を実施して、状況を見ながらサービスの変更が必要とあればプランを変更することも。
介護が必要な人にとって、身近で心強い存在となるでしょう。
またケアマネジャーは「要介護認定調査」にも関わっています。
ケアマネジャーの資格取得方法
試験を受けるには、保健・医療・福祉に関する法定資格に基づく業務と実際に相談の対応をしてきた年数が5年以上かつ業務に従事した日数が900日以上などの細かい受験資格が必要と記載されています。
資格取得に該当するのか、勤務地の各都道府県のホームページで必ず確認しましょう。
介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、研修を受けて各都道府県の介護支援専門員名簿に登録する必要があります。
ケアマネジャーの就職先
特別養護老人ホームや有料老人ホーム、介護老人保健施設、医療法人などで働いています。
公的機関である地域包括支援センターという地域に住む高齢者の方以外にも、その支援に関わる方を対象にした施設も候補となります。
看護師がケアマネジャーとして働くメリット
看護師がケアマネジャーの資格を取得して働くと、知識が深まるだけではなく、自身へのメリットもあります。
看護師ではなく、ケアマネジャーとして採用された場合を見ていきましょう。
体の負担が減る
看護師がケアマネジャーの資格をとって、介護についての知識が豊富な看護師として働くか、ケアマネジャーとして就職するかで労働環境が大きく変わります。
看護師の仕事は、おむつ交換や体位変換、入浴介助など重労働です。
ケアマネジャーとして働くと、このような看護業務をせずにパソコン作業が多くなります。
腰や足を痛める看護師も多いため、体の負担が減ることはケアマネジャーとして働くメリットと言えるでしょう。
規則正しい勤務スタイル
ケアマネジャーの仕事は、夜勤がないケースが多いため、看護師のような不規則な勤務ではありません。
一定の時間帯に勤務するスタイルは看護師が病院に勤める場合は難しいことが多いため、魅力を感じる人も多いでしょう。
医療に精通したケアマネジャーになれる
看護師としての臨床経験があれば、治療方針や介護度に応じた内服管理、生活上の問題点など働いていた時の経験を活かして、仕事に携わることができます。
ケアマネジャーだけでなく、医師や訪問看護のスタッフと、話し合う上で医療の立場と介護制度の観点から意見が言えると、多面的に患者さんに関わることができるでしょう。
医師や看護師とスムーズにコミュニケーションが取れる
医師と普段から患者さんの治療について話をする機会が多いため、ケアマネジャーの立場になっても話し合いがしやすいケースも。
医療的な面からも意見交換がスムーズで、医師からの信頼を得やすく看護師がケアマネジャーの立場で働くとコミュニケーションがとりやすくなります。
転職する時のアピールポイントとなる
ケアマネジャーの資格を持っている人は、介護福祉士が合格者の45%ほどのため、看護師とダブルライセンスを持っている人は少数派です。
ケアマネジャーと看護師の両方の視点から関わってくれるため、知識豊富な人材と評価されて、採用時に有利になるでしょう。
看護師がケアマネジャーとして働くデメリット
看護師がケアマネジャーとして採用された場合には、デメリットと考えられる場合もあります。
どのような例があるか見ていきましょう。
給料が減る可能性がある
看護師とケアマネジャーの平均年収を比べると、看護師の年収の方が高い傾向にあります。
看護師が両方の資格を持っている場合は、どちらの職種で採用されるのか確認しましょう。
看護師として働く場合は、ケアマネジャーの資格は資格手当として給料に反映されない可能性が高いです。
時間外の対応をする可能性がある
ケアマネジャーは担当する事業所によっては、時間外の電話対応をする可能性があります。
また電話は長時間になることが多く、仕事内容に不満を感じているケアマネジャーもいます。
また救急車への同乗や、他に頼れる人がいないため対応せざるを得ないといった仕事内容も多く、ストレスとなっているようです。
病棟以外の部署に配属となる
ケアマネジャーの資格を持っていることで、患者さんが自宅に戻るために支援する部署に配属となるケースが考えられます。
その場合は、看護師として看護技術を行いながら働くよりも、パソコン作業で患者さんの家族に聞き取りを行い、在宅で過ごす場合の問題点をアセスメントするといった働き方となるでしょう。
実際には看護師資格で働く方が給料が高いため、ケアマネジャーとして採用を希望する看護師は少ない傾向にあります。
看護師がケアマネジャーを取得するメリットは大きい!資格取得後の職場も事前に調べておこう
看護師がケアマネジャーの資格を取得すると、患者さんに対して多面的に関わることができ、家族の信頼も得やすいでしょう。
介護制度について詳しい看護師は多くありません。
患者さんの担当しているケアマネジャーとも話がしやすく、提供するサービスへの理解も深まります。
ケアマネジャーとして就職する場合は、給料面は減額する可能性が高いですが、看護師にはない働き方ができるため、自分の活躍する場を広げるために資格を取得するメリットは高いでしょう。
ケアマネジャーの資格を検討する場合は、資格取得後の働き方も事前に調べておくと安心です。